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Bonne journée

良い一日を! これまで見てきた好きな映画、詩、本、京都の街歩きなど、綴っています。




【シネマ】 ~明日へのチケットTickets~人生を乗せて :: 2023/04/04(Tue)

明日へのチケット (原題:Tickets)
2005年製作 イギリス・イタリア合作
3人の監督の共同長編映画です
カンヌ映画祭パルムドール受賞

ローマへと向かう列車を舞台に、
触れ合い、すれ違うさまざまな人々たち
3話のエピソードが
重なり合い、ゆるやかにつながり、
ひとつの作品に仕上がっています

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1話~「木靴の樹」のエルマンノ・オルミ監督
    情感のある映像です
    オーストリア、インスブルック駅発、
    ローマ行きの列車、初老の大学教授と
    同じ列車に乗り合わせた人々

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   ラストシーン…
   アルバニア難民の幼い子へ
   他の乗客たちが見つめる中  
   教授が席を立ち
   温かいミルクを運んでいきます
  
  気持ちが和みます…(;_;) 

2話~「桜桃の味」のアッバス・キアロスタミ監督
、   将軍の未亡人と  
    兵役奉仕での付き添いの青年
    キアロスタミ監督は
    青年に対しての傲慢な女性の姿を、
    遠慮、容赦なく、リアルに映し出します。
    他の乗客に対しても
    わがまま放題ですが
    ふとしたときに歳を重ねた女性の
    不安な横顔がのぞきます。
 
    車窓に映りこむ風景描写がきれい♪
  
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   青年の
   何かを思いめぐらせる目が印象的
   ラストは女性から逃げ出します!

3話~「麦の穂をゆらす風」のケン・ローチ監督
    セルティックを応援するため、
    スコットランドからやってきた
    サッカー好きのスーパーの店員3人組
    
  アルバニアの不法移民の少年の家族
 (1話で教授がミルクを運んだ家族)
  と列車のチケットを巡って一騒動おきます
  三人の青年それぞれの個性が面白く、
  最後は一番強気だった青年が
  難民家族に
  自分のチケットを渡してしまいます!

    
 ローマ駅到着!
 列車からおりてくる乗客に混じって
 2話の中で女性から逃げ出した
 青年の姿がありました…♪
   
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チケットを持たないことで
駅の係員に追われる若者たち
サッカーファンの大騒ぎにまぎれて
三人がローマ駅を 
ひたすら逃げ回ります

それぞれの明日へのチケット!

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ケンローチ監督
壮快なエンディングです!

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フランス映画 ~突然炎のごとく Jules et Jim~ :: 2023/03/14(Tue)

”突然炎のごとく” (1961年)
原題Jules et Jim ジュールとジム
監督 フランソワ・トリュフォー

"トリュフォーの女性へのイメージのすべてを
 ジャンヌ・モローという女優に結晶させた映画"
 と言われています

トリュフォー映画のなかでも 
特に強い印象を受けた作品です

 躍動感のある画面展開
 軽快な語りのナレーションが入ります
 
第一次世界大戦前のパリ 
文学青年ジュールとジムは
お互いの才能を認め合う親友同士。

ある日2人は、
アドリア海の孤島で見た
女神の彫像にそっくりな女性
カトリーヌ(ジャンヌ・モロー)と出会います

女神像の微笑を持ったカトリーヌに
2人は魅了されます!

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ジュールがジムに言うセリフ
「彼女は特に美しくもない、
 聡明でも誠実でもない。だが女そのものだ」

<カトリーヌ、ジュール、ジム>
カトリーヌにとって
2人の男の存在は必然であり
そして男2人は、カトリーヌを深く愛し
奔放で傲慢な彼女のすべてを
許しています

ただ…3人の奇妙な関係性にあっても
男同士の友情はゆらぐことはなく
ドキッとするほどの冷静さも見えます…

友情と愛、そしてカトリーヌの苦悩…
息をのむラストの結末へと
つながっていきます…❕

みずみずしく流麗な映像は、
ラウール・クタールによるものです
ヌーヴェルヴァーグの
数々の名作を手掛けた撮影監督
この映画について 
「トリュフォー映画では最も好きな作品、
少なくとも 
映像がシナリオをしのいだ奇跡的な一本に入る」
と語っています 


撮影合間のトリュフォーとジャンヌモロー♪ Fトリュフォー





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フランス映画 ~クリクリのいた夏~懐かしい景色 スズランを摘む… :: 2023/03/03(Fri)

「クリクリのいた夏 1999年」
 監督ジャン・ベッケル
原題はLES ENFANTS DU MARAIS
(沼地の子供たち)
フランスでは
200万人の観客を動員した映画です!

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1930年代、
クリクリという名前の女の子が育った
フランスの田舎の村が舞台です。

”私の思い出はあの春に始まる”

大人になったクリクリが
昔を思い出しながら
物語の語り手になっていきます。

クリクリのいた夏1

「いまもおぼえているあの薔薇の香りを…!」

クリクリの記憶の中のやさしい大人たち…、
★復員兵で一人暮らしのガリス、
★クリクリの父親リトン、
★大富豪になり村を離れた老人ペペ、
(演じたミシェル・セローがいい感じです)
★音楽や文学をこよなく愛する男性、
★薔薇の邸宅に住む上品なマダム…。

タイトルバックは深い森の中から…
ガリスがスズランを摘んでいる場面です。
季節は初夏
スズランをブーケに束ね
町まで売りに行くのですが

村の住人が言います。
「人は貧しくても、じゃがいもよりスズランを買う」

リトンが答えます
「スズランはじゃがいもより夢があるからさ!」

2クリクリのいた夏

時おり翳りもみせるガリスですが、
他者への
いっぱいのやさしさを持った男です…☆☆

森や池から日々の糧を得、
沼のほとりで
親しい仲間とワインを酌み交わす
小さな衝突もあり

それぞれが
寂しさや哀しみも抱えながら
沼地での暮らしの日々が
過ぎていきます…☆

人が生きることの懐かしさのにおい

幸せな気持ちが残る映画です…☆☆

 ***

フランスでは、
5月1日のすずらんの日(JOUR des MUGUETS)に
愛する人、大切な人にスズランを贈ると
幸せを呼ぶと言われています♪♪



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【シネマ】~過去のない男~人生は前にしか進まない :: 2023/02/14(Tue)

「過去のない男」2002年公開のフィンランド映画 (日本は2003年)
監督=アキ・カウリスマキ
2002年カンヌ国際映画祭グランプリ、主演女優賞受賞、
サン・セバスティアン国際映画祭国際批評家連盟賞、
ハンブルク映画祭ダグラス・サーク賞など、
多くの賞を受賞しています


数年ぶりに鑑賞しました
タイトルからくる重暗しさは感じない映画です
むしろクスッとしたユーモア、おかしさがあります

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夜行列車に乗ってヘルシンキへとやって来た男 
暴漢に襲われ、
そのショックで全ての記憶を失ってしまう

男は海辺のコンテナハウスに住む
貧しい一家に助けられます

 この家の主人が男に言います

「人生は後ろには進まない 過去に進んだら大変だ」

熱いセリフやドラマティックな展開はなく
静かに、ゆるくストーリーが進みますが
そのなかに確かな時間の流れがあります

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警察や職安など
社会のルールは男には冷たいけれど、
隣人たちは
男の名前など知らなくてもかまわない…☆ 

 コンテナの主人が男に言います
「給料が入ったからビールをおごるよ 
それくらいなら妻にばれないだろう 多分…」
 
男は出がらしのティーバックを
レストランに持ちこみ
「お湯はいくら?」と尋ねる
店の人は「無料よ」と無表情に答える
そこかしこに
やさしさとおかしさがあります…☆

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出演した犬(役名ハンニバル 名前はタハティ)も
カンヌ映画祭のパルムドッグ賞を受賞♪
出番はさほど多くないですが、
素直ないい演技(?)でした ♪

クレイジーケンバンドの「ハワイの夜」
が挿入歌で流れます♪♪

お金はなくても十分楽しく生きていける
人生すてたものではない

悲壮感を感じさせない
観終わったあとの不思議な温かさ…
じんわりと余韻が残る映画です…☆☆








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”劇場版 荒野に希望の灯をともす” ”アフガン最期の言葉” :: 2023/01/29(Sun)


ドキュメンタリー映画
「劇場版」 荒野に希望の灯をともす
ずっと見たいと思っていました。
先週土曜日に
京都で上映会がありましたので
鑑賞してきました

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戦火のアフガニスタンで21年間継続的に記録した映像から、
これまでテレビで伝えてきた内容に未公開映像と現地最新映像を加え劇場版としてリメイク。
混沌とする時代のなかで、より輝きを増す中村哲の生き方を追ったドキュメンタリー。
”映画の案内チラシから”

やはり大きなスクリーンは
真に迫ってくる感がありました!

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中村哲さんの訃報はほんとうに衝撃でした。
これまで
アフガニスタンでの活動は
テレビ映像や著作等で目にしていました。

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亡くなられてから出版された本です
”希望の一滴”アフガン最期の言葉

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~裏表紙のことば~

★結論は無用、実行あるのみ
★一隅を照らす
★誰もがそこへ行かぬから、我々がゆく
誰もしないから、我々がする

とてつもなく大きな足跡を残されました…☆彡

~石橋蓮司さんの朗読は
力強いのですが
映像に入り込みすぎず
いい感じでした~



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