愛くるしいトトの表紙のパンフレットです
(シネスイッチVOL13、1989年12月16日発行)

カバーイラストはペーター佐藤氏
この冊子の中に淀川長治さんが
2ページにわたりエッセイを寄せています
「ノスタルジィ!ノスタルジィ! 映写技師とフィルムの、この人生物語」
「この映画は私のノスタルジィをかきたてた!
少年が大人になっていく人情話を、古い小説をひも解くように
”ニュー・シネマ・パラダイス” と言う題名で見せた。
実に洒落た脚本だ 」 ~本文より~

戦後間もないシチリア島の小さな村に
一つだけあった映画館パラダイス座。
村人たちにとって
映画が唯一の娯楽だった時代の物語です。

フィルムを自在に操る映写技師アルフレード。
映画に魅了されたトト少年は、
パラダイス座の映写室に通いつめます。
パラダイス座で上演されていた名作の数々です。
(どん底、駅馬車、素直な女、青春群像、街の灯等々)

映写技師アルフレードに、名優フリップ・ノワレ、
大人になったトトは
ジャック・ペランが素敵に演じています♪
淀川長治さんは
この映画について、こうも述べています
”すりガラスのランプの光のような映画であった”
「ニュー・シネマ・パラダイス Nuovo Cinema Paradiso」
1989年公開のイタリア映画。
監督ジュゼッペ・トルナトーレ。
カンヌ映画祭審査員特別賞、アカデミー外国語映画賞など多数
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北ギリシアの港町テサロニキ。
詩人アレクサンドレの
人生最後の一日を綴った物語です。
1998年のカンヌ映画祭でパルムドールを受賞
監督 テオ・アンゲロプロス
主演は『ベルリン天使の詩』のブルーノ・ガンツ
愛犬と海岸沿いを歩きながらの彼のモノローグから。
「私は何一つ完成していない。
あれもこれも下書き、言葉を散らかしただけだ」
自分の命が残り少ないことを知ったアレクサンドレ。
愛犬を連れ車を走らせます。
途中、アルバニア難民の少年を窮地から救い出し、
一緒に旅をすることに。
老詩人と一人ぼっちの少年…短い時間の中で、
2人の心に温かなふれあいが生まれ、
それがこの物語の一つの軸になっていきます。
難民の仲間と共に他国へ旅立つことを決めた少年。
心細く不安な顔を見せる少年に
アレクサンドレが言います。
「大丈夫、旅は大きい!いくつもの港、広い世界!」
胸がいっぱいになるシーンでした。

少年が旅立つまでの、残された時間、
2人は港町を走る循環バスに乗ります。
深夜のバスには不思議な人物たちが、
次々と乗り込んできては降りていきます。
現実と幻想が入り混じり、バスの場面は、
どこかまぼろしのような映像でした。
妻との過去の幸せな思い出は、
明るい太陽の下、時間軸を超えて蘇ります…。
浜辺で亡き妻アンナとダンスを踊りながら
「いつか君に聞いた…明日のときの長さは?君の答えは?」
アンナが答えます 「永遠と一日…」

最後の一日に永遠があった…。
現実と過去と幻想が行ったり来たり、
なかなかとらえにくく、
場面に追いつけないところもありますが、
やさしさ、哀しさが胸に迫ります。
アンゲロプロス監督の映像美あふれる作品です!
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