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Bonne journée!





フランス映画(2)~まぼろし~明日の運命なんて誰にもわからない :: 2018/03/12(Mon)

「まぼろしSous le sable」2001年、フランス。
監督は「8人の女たち」のフランソワ・オゾン。

”明日の運命なんて誰にもわからない”

オゾン監督の子供時代の体験がもとになった作品です。
夏休みに訪れたフランス西南部、ランド地方の海岸で
一人の男性が海で行方不明になり、戻ってこなかった。
その人がどうなったかが、ずっと気になっていたそうです。
この映画は「そのことへの自分なりの結論でもある」と語っています。

タイトルバックは、
大きくゆったり流れるセーヌ川の映像からです。
冒頭から映画に引き込まれます。

夏のバカンスに南仏の別荘にやってきた一組の夫婦。
気がつくと夫は、海岸から忽然と姿を消してしまう。
夫ジャンに、「メグレ警視」のブリュノ・クレメール。
堂々とした風貌は、画面に夫の不在をより浮かび上がらせます。
妻マリー役は、「スイミングプール」のシャーロット・ランプリング。
背筋をスッと伸ばし、毅然とした顔つきが印象的です。

マリーはホームに一人で暮らす夫の母親を訪ねます。
ジャンがうつ病の薬を飲んでいたこと、
自分は夫の変化にずっと気付かなかったこと
母親の返事は残酷なものでした。
「薬のことは聞かなくても知っていましたよ。
母親ですもの.。
あなたに飽きて、新しい人生に出発したのよ」と。
女二人の怖いシーン!

まぼろし

マリーは現実を拒んでいる自分に気付き、
夫の不在を受け入れようと決めます。
そして、ジャンが消えたランド海岸で、
両手を砂に沈めながら、
はじめて声をあげて泣きます。
原題はここからでしょうか
 Sous le sable=砂の下。

物語の結末が、とても謎めいています。
マリーが遠くの海岸に男性の姿を見つけ、駆け出します。
観ているこちら側は、この人物が誰なのか、
夫のジャンなのか全くの他人なのか、わからないままです。

オゾン監督はこの作品においても、
「あいまいなほうがいい…謎のまま…」と語っています。
フランソワオゾン監督、深いです…!



  1. 映画ベスト

”ニュー・シネマ・パラダイス” ノスタルジィ!ノスタルジィ :: 2018/02/07(Wed)

愛くるしいトトの表紙のパンフレットです
(シネスイッチVOL13、1989年12月16日発行)

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カバーイラストはペーター佐藤氏

後年、完全オリジナル版(約3時間)も公開されました

この冊子の中に淀川長治さんが
2ページにわたりエッセイを寄せています

「ノスタルジィ!ノスタルジィ! 映写技師とフィルムの、この人生物語」
「この映画は私のノスタルジィをかきたてた!
少年が大人になっていく人情話を、古い小説をひも解くように
”ニュー・シネマ・パラダイス” と言う題名で見せた。
実に洒落た脚本だ 」 ~本文より~

パラダイスニューシネマ

戦後間もないシチリア島の小さな村に
一つだけあった映画館パラダイス座。
村人たちにとって
映画が唯一の娯楽だった時代の物語です。

2ニューシネマ

フィルムを自在に操る映写技師アルフレード。
映画に魅了されたトト少年は、
パラダイス座の映写室に通いつめます。
パラダイス座で上演されていた名作の数々です。
(どん底、駅馬車、素直な女、青春群像、街の灯等々)

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映写技師アルフレードに、名優フリップ・ノワレ、
大人になったトトは
ジャック・ペランが素敵に演じています♪

淀川長治さんは
この映画について、こうも述べています
”すりガラスのランプの光のような映画であった”

「ニュー・シネマ・パラダイス Nuovo Cinema Paradiso」
1989年公開のイタリア映画。
監督ジュゼッペ・トルナトーレ。
カンヌ映画祭審査員特別賞、アカデミー外国語映画賞など多数
https://www.youtube.com/watch?v=WSkyoyyvnAY
(Ennio Morricone ) Cinema Paradiso

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フランス映画(1) ”冒険者たち” 今なおみずみずしく…” :: 2018/01/14(Sun)

全編にわたって流れる音楽は
フランソワ・ド・ルーベの作曲。
青春のうつろいや哀しみを包み込んでくれるよう
口笛が印象的、ずっと耳に残ります。

「フランソワ・ド・ルーベFrançois de Roubaix」 
フランスの作曲家。映画音楽に素敵な曲をたくさん残し
若くして(36歳で)亡くなっています。

「冒険者たち Aventuriers」1967年 フランス
監督「ロベール・アンリコ Robert Enrico 」
ロベール・アンリコの名を永遠にしたと言われている名作。

主役の3人は
腕も度胸もある飛行機乗り、マヌーにアラン・ドロン
エンジンの特許を夢見る男、ローランに、リノ・バンチュラ
彫刻家の女性レティシアを演じる
ジョアンナ・シムカスは
とてもナチュラルな美しさを持った女優です。

冒険者

それぞれに夢が打ち砕かれてしまった3人が
海底に眠っている財宝を捜すため
アフリカ沖まで冒険の旅に出るストーリー。

ラストの空撮のシーンは秀逸です。
まわりのすべての音が消え、
聞こえるのは要塞に打ち寄せる波の音だけ。
ただよう寂寥感…

数十年前に観たときから、ずっと好きな作品です。
今なお映像がみずみずしいのには驚きます。

  1. 映画ベスト

明日の時の長さは? 永遠と一日 :: 2018/01/13(Sat)

北ギリシアの港町テサロニキ。
詩人アレクサンドレの
人生最後の一日を綴った物語です。

1998年のカンヌ映画祭でパルムドールを受賞
監督 テオ・アンゲロプロス 
主演は『ベルリン天使の詩』のブルーノ・ガンツ

愛犬と海岸沿いを歩きながらの彼のモノローグから。
「私は何一つ完成していない。
あれもこれも下書き、言葉を散らかしただけだ」

自分の命が残り少ないことを知ったアレクサンドレ。
愛犬を連れ車を走らせます。
途中、アルバニア難民の少年を窮地から救い出し、
一緒に旅をすることに。
老詩人と一人ぼっちの少年…短い時間の中で、
2人の心に温かなふれあいが生まれ、
それがこの物語の一つの軸になっていきます。

難民の仲間と共に他国へ旅立つことを決めた少年。
心細く不安な顔を見せる少年に
アレクサンドレが言います。
「大丈夫、旅は大きい!いくつもの港、広い世界!」
胸がいっぱいになるシーンでした。

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少年が旅立つまでの、残された時間、
2人は港町を走る循環バスに乗ります。
深夜のバスには不思議な人物たちが、
次々と乗り込んできては降りていきます。
現実と幻想が入り混じり、バスの場面は、
どこかまぼろしのような映像でした。

妻との過去の幸せな思い出は、
明るい太陽の下、時間軸を超えて蘇ります…。
浜辺で亡き妻アンナとダンスを踊りながら
「いつか君に聞いた…明日のときの長さは?君の答えは?」
アンナが答えます 「永遠と一日…」

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最後の一日に永遠があった…。
現実と過去と幻想が行ったり来たり、
なかなかとらえにくく、
場面に追いつけないところもありますが、
やさしさ、哀しさが胸に迫ります。

アンゲロプロス監督の映像美あふれる作品です!

  1. 映画ベスト